男性の育休取得促進にはディズニーの方針転換が大事

男性の育休取得促進にはディズニーの方針転換が大事

どーも、虎爺です。先日まで育休を取得していました。
本日は育休を取得していてて思ったことや男性の育休取得を増やすにはどうしたらいいかを書きます。

結論を先に書くと、下記の通りです。

育休を取得して思ったこと
・やっぱり育児は(体力的に)しんどい
・育児は誰でもできるが、しんどい仕事(インプットの質と量がアウトプットに関係ない)
・いろんな場面で「育児=女性の仕事」が前提

男性の育休取得を促進するのに必要だと感じたこと
・育休を取る男性が増えること
・かっこよさが女性の魅力になる
・価値観の多様化
・育休制度の改善(支給上限の撤廃/緩和、フレキシブルな申請)

それでは詳しく書いていきます。子供がかわいいとかの感情面は排除して、仕事のようにドライに書いていきます。

まず、私が育休を取得して思ったことです。

・やっぱり育児は(体力的に)しんどく、非常にストレスフル。
そのままです。生まれた直後の新生児は泣く力もなく声が小さいのですが、すぐにそれは終わります。オムツを変えてもミルクをあげても温度調節しても抱いても何しても泣き止むとは限りません。

仕事上のコミュニケーションだったら、要求側が具体的に伝えなければ要求側が悪いとして放置できますが、赤ちゃんは無理です。赤ちゃんの要求は抽象的以上に意味がわからず、終わりがなく、解決するのは根気と時間なんですね。これは仕事の対極でもあるので、しんどいですね。

泣き続けること以外にも、夜間にミルクをあげるために起きたりするのもしんどいです。3時間位の睡眠を繰り返すことになるので、なかなか十分に寝れないですね。

寝れないから疲れが取れず、疲れているから些細なことでイライラしてしまい、あやすのが下手くそで、寝てくれないのエンドレスリピートですね。

・育児は誰でもできるが、やっぱりとてもしんどい(インプットの質と量がアウトプットに影響しない)
批判覚悟でいうと、育児は単純作業です。ミルクをあげて、おむつを変えて、肌を守るために保湿クリームを塗って、温度調節をして、危険がないように見守って、泣いたらあやしてなどなど。誰でもできるんですね。もちろん、上手下手の違いはあるし、工夫でかかる時間を減らせたりはしますが劇的な差は生じにくいですね。

だから、人類のみならず生物が反映しているのですが。誰でもできる単純作業だから楽ちんなわけではなく、前述のようにしんどいです。とてもしんどいです。

例えて言うならば、車が存在する現代社会の日本で毎日水を運ぶのに50kmを徒歩で移動するようなもんです。コツをつかんだら幾分かは楽になるかもしれませんが、「しんどい」の域は出ません。

で、いつのまにか赤ちゃんが大きくなって、知らない間に解決する。そこに論理的なPDCAが存在しなくてもクリアできます。仕事だったら、工夫したり科学技術の進歩を活用して生産性を向上させたり、そもそものその作業を捨てるといったこともできますが、育児は限界があったり不可能だったりします。

なので、とてもしんどいんです。

そのしんどさを共感できないと、我が子であっても虐待することになるんですね。私はパートナーと二人で育児をしていますので、現時点では大丈夫ですが、私がシングルマザーでワンオペ育児であったり、パートナーが仕事ばかりで家にいなかったら、病んでいたと思います。

仕事であれば、インプットの質や量をあげれば成果も上がりますが、育児は違いますね。成長が早まるわけでもなく、闇雲に泣かなくなるわけでもなく、知性や体力が向上するわけでもありませんから。特に乳幼児においては。

誰でもできるが、とてもしんどい。本当に育児はそうだと思います。

・いろんな場面で「育児=女性の仕事」が前提
保育園や保健所等で感じたのですが、ほぼ全てが「保護者=女性」でした。
「お母さんのお迎え」「お母さんはどうか」「女性の目のみを見て話す」などなど。ま、育児は女性(だけ)がしている家庭もあり、キーパーソンが女性ということが多いからだと思いますが、男性軽視の場面がありました。そのぶん、違うところでは女性が差別されているのかなとも思いましたけど。

以上、育休をとって思ったことを書きました。要約すると、「男性・女性に限らず、育児は(体力的に)しんどい」ということですね。ま、我が子はかわいいので、しんどいけど嬉しくて、総合的にはプラスなんですけどね。

さて、育児がしんどいので、一人で育てるより複数人でフォローしあって育てるほうがいいですよね。政府の男性の育休取得を促進すべく、あれこれ考えてくれています。
男性育休、法改正で促す 政府全世代型会議案 制度周知、義務に

ここからは、男性の育児参加を増やすための男性育休促進にむけて何が必要か考えたことを書きます。

・育休を取る男性が増えること
育休を取得することを会社の上司や関連部署に告げた時、反応はわかれました。
「男性が取るだなんてびっくりした」「出世遅れるよ?」「育休中の仕事は誰がするの?」「イクメンいいですね」「私も育休取りたかったです」「時代を変えてね」などなど。

批判的なことは予想してました。けど、育休は男女関係ないです。女性相手に同じことを言っていたとは考えられません。古き悪き価値観の老害ですね。自分の仕事を誰がどうするかは、退職と同じように会社が対応することです。当然、引き継ぎは真剣にやりますが、数ヶ月前に言ってて対応できないようであれば、その課長や人事は役立たずです。

また、批判的なことを考える人たちにはある程度共通した言葉もありました。それは「こんな世の中だからしょうがない」です。いやいや、「お前に許可なり否認なりの権限はねーよ」と思ってスルーしましたが、これは共通していました。他人のせいすることと、日本人が得意の空気や同調圧力ですね。何故かみんながやっている事がをそれを肯定する理由になるんです。

Excelならばセルの自己参照で計算がおかしくなってしまいますが、育休を取る男性が増えれば増えるほど、圧力は下がって、男性の育休は増えます。「育休取りたいけど取れない」って言ってる人、結構多いですが、それは「取れないではなくて取らない」ですから。批判を怖がって「取らない」人は、まわりが取れば取り出します。

・かっこよさが女性の魅力になる
もう1つの精神論の部分ではこれですね。下記のような概念が、その性としての魅力と感じている人は多いのではないでしょうか。
男性:かっこいい、おもしろい、かしこい
女性:かわいい、美人、守ってあげたくなる

男性には活躍することを求められ、女性はそうではありません。これが重要なんですね。また、「バカ=かわいい」といった変な変換も、日本ではありますね。私の学生時代もそうでした。賢いほうが損をし、バカなほうが得になるのであればみんなバカになります。
 ※女性がバカだと言ってるのではなく、バカになるインセンティブが高いのは女性だと言っています

これでは女性が社会進出しても活躍できないですよね。活躍しないほうがモテるんであればわざと活躍しません。

これは、男性は下方婚、女性は上方婚を狙うことが多いのと関係があります。

つまり、劣っている女性の方がパートナーに選ばれやすいんですね。だから、多くの男性は相対的に(家庭を犠牲にしても)仕事をこなしたり、出世したいと思い、キャリアの断絶になる育休を取得しようとしないんです。

諸悪の根源は、ヒーローに救われるのを待つディズニープリンセスだと思います。

眠れる森の姫や白雪姫ですね。任天堂では、ピーチ姫もそうでしょう。成果を発揮しなくても階級や外見で選ばれます。

が、最近はそれを覆す事が起きていて、悪だと言ったディズニーでもトレンドが変わってきています。荒くれ者のユージーンを動かしながらルーツを探すラプンツェル頼りないクリストフを引っ張るエルザとアナ(アナ雪)スーパーヒロインとして家族と世界を救うヘレン(インクレディブルファミリー)、主人公のウッディーに変わって大活躍するか弱い少女のおもちゃのボー(トイ・ストーリー4)。私が明確にディズニーの意図的な変化を感じたのはインクレディブル・ファミリーでした。

これらの作品を幼少期から見出した世代は、男女差別のはびこる古き悪き時代で育った人とは価値観が異なるでしょう。かっこよく活躍する女性が当然となり、憧れの眼差しを向けることになれば、女性のモテの要素が変わります。女性にも活躍が求められるんですね。結果として、男女の役割分担は無くなり、彼ら彼女らは育休取得に男性女性がどうのこうの言うことは無くなります。

・価値観の多様化
男性は仕事、女性は家庭といった古き悪き昭和の価値観は今でも残っています。
しかし、今は新しき良きReiwaですね。2020年です。日本は既に落ちぶれた先進国かもしれませんが、国内では戦争が起きず、諸先進国と比べてコロナ影響も格段に少なく、平和です。

そんな国が今までの価値観でいいのでしょうか。仕事のアウトプットにおいて女性が男性に劣位する研究結果はありませんし、家事でも男性が女性に劣位する研究結果はありません。唯一存在するのは、「男性は仕事、女性は家庭」といった認識だけです。当然ですが、それが崩壊すれば男性の育児参加は増えますよね。

・育休制度の改善(支給上限の撤廃/緩和、フレキシブルな申請)
まず、給付金の上限についてです。育休中は育児休業給付金をもらえますが、上限があります。6ヶ月以内だと30万円強です(半年経過後は20万円強に減額)

財源は雇用保険です。さらに言うと普段支払っている雇用保険料です。雇用保険料は定額ではなく定率です。なので、高所得者ほど高額な保険料を払っているんです。

育児休業給付金は雇用保険を支払っている人に払うので、上限を定めるのはおかしいですよね。福祉のためのお金ではなく、収入減少をカバーするためのお金ですから。私でさえ上限にギリギリひっかかるくらいなので、もっと稼いでる人は大幅な収入減少となり、ネックになるでしょう。

理想を言えば上限を撤廃して無制限にすべきだと思います。ただ、財源維持のために上限を決めないといけないのであれば、もっと上げてほしいですね。

子供が保育園に入れない場合は育休の上限が1年から最大2年間に伸びるのですが、1年経過後に支給額を引き下げて、それまでの上限を増やしてほしいなと思います。その方が、育休延長のために激戦の保育園に申し込むといった無駄も防げますから。

次に、申請です。

女性が育休を取得する場合、多くの場合は産休からそのまま育休に入ると思います。その場合、流れはこちらのとおりですね
勤務→産休→育休

産休は出産予定日の42日前から取得することができます。それ以後に休職することもできますが、多くの場合はその日から休むのではないでしょうか。休職中は無給になると思いますが、手当は健康保険から支給されます。

男性が育休を取得する場合、出産しないので勤務からいきなり育休です。
勤務→育休です。

育休が取れるのは、出産予定日もしくは出産日です。育児休業給付金がもらえるのは、出産日以降の育児休職している期間です。

つまり、出産予定日から育休を取得しても、出産が後ろ倒しになると、それまでの間は無給で給付金ももらえません。無収入になります。このギャップが煩わしいんですね。

予め育休に入る日を決めておいても、その日が確実に給付金が支払われる日(=出産日以後)とは限りません。出産予定日よりも後に育休取得日を設定するのがいいと思いますが、早く生まれた場合は忙しいのに仕事をしなければならなくなります。

これをもっとフレキシブルにしてくれれば、育休を取得しやすくなりますね。いつ休むかわからない人に仕事をふるのは会社としては非効率ですし、本人もやりづらいです。。

出産予定日から給付金が支払われるようになれば、とても使いやすくなりますね。もしくは、出産日から事前に申請した育休開始日までの間に有給休暇を取得するか。

私(と弊社の人事部担当者)はそれを知らず、予定日を育休開始日として申請していましたが、途中で前述の無収入の懸念があることがわかり、出産予定日の2週間後に育休開始として申請し、パートナーが退院してから2日後に有給休暇を取得し、そのまま育休に入りました。無給かつ無給付で休んでも、私も会社も損しますから、育休開始日は後ろに設定せざるを得ません。

最後に、男性の育休取得促進ではなくなりますが、1つ意見を申し上げます。

それは「休職しなくても育児休業給付金を支給する」です。

もちろん、現在の育児休業給付金が、育児参加で仕事ができなくなるため収入を補填するというのもわかります。けど、「休職せずに育児をアウトソースするためにお金がほしい」という価値観もあります。work as life な方はそうでしょう。そんな人は欧米で言う、ナニー(nanny)を雇ったり、家事代行サービスを使用したり、保育園に預けながら仕事をしたいですよね。本来の給付金を含む育休制度の目的は出生率向上や子育て負担の緩和であって、仕事を休むのではないですから。

もしそうすれば、売り手良し買い手良し世間良しの三方良しで有名な近江商人以上の四方良しです。

私の案のメリット
私:仕事を休まずに済むので、キャリアの断絶が生じない
(私が勤める)会社:社員が減らずに済む
国:出生率低下、労働力人口減少の対策になる
ナニー等:(いい意味で)仕事が増える

それが、今の制度だとこうです

私:働かなくてもお金がもらえる(ただしキャリアは中断)
(私が勤める)会社:社員が減って仕事をまわしづらい
国:出生率低下、労働力人口の減少の対策になる
ナニー等:仕事は増えない

子供のいない方からは、なんで収入が増えるんだと批判があるかもしれませんが、それは今もそうですね。働かなくてもお金がもらえるんですから。であれば、世間も良くなるこの方法の方がいいかなと思います。

菅総理、田村厚労大臣、霞ヶ関のみなさま、どうでしょうか。ぜひよろしくお願いします。

男性の育児参加及び育休取得促進のための私の案はこちら
感情面:ディズニー映画でヒロインが活躍する
制度面:フレキシブルに取得できるような制度改変及び給付金の上限撤廃
+αの提言:仕事を休まなくても給付金を貰えるようにすべき

それでは、また